長崎県立長崎図書館史料調査

対馬(長崎県上県郡・下県郡)には、多くの中世文書が伝来していることが確認されていたが、本所でこれまで採訪されている対馬関係史料としては、内山文書・斎藤文書・島雄成一氏所蔵文書・平山文書・山下政清氏所蔵文書・吉村啓氏所蔵文書・豆酘文書・津原前氏所蔵文書・対馬島庁所蔵文書・梅野喜一郎氏所蔵文書・比田勝文書等の影写本、金剛院文書・初村家文書・一宮家文書の写真帖、大正八年平泉澄氏によって採訪された対馬採訪文書、昭和二十五年竹内理三氏が採訪された対馬古文書纂三冊の謄写本、九州大学九州文化史研究施設所蔵宗家御判物写三十三冊のエレファックス版などがある。これ以外にもなお多くの史料が現地に所蔵されているところから、その採訪が要望されていたが、離島であることと島内の交通事情から容易に実現しなかった。ところが国士館大学・長崎県立長崎図書館でも、前者は中世文書を中心に、後者は全島を各時代を通じて網羅的に採訪してフィルムに収める作業を行っておられることから、その焼付を購入することにより、本所の対馬関係史料を整備することになった。国士館大学の採訪は、昭和四十二年および四十三年の二ヶ年間に、故黒田省三教授を中心に主として中世文書に重点を置いて採訪されたものであるが、同大学村田正志教授の御厚意により撮影フィルムを借用し、すべて焼付を行った。また長崎県立長崎図書館でも、昭和四十二年以来継続事業として、対馬の史料を網羅的にフィルムに収める作業を進められ、昭和四十九年度までに、既に約四万コマの撮影を完了している。そこで国士館大学で未撮影の史料を長崎図書館のフィルムによって補充することを意図し、長崎図書館のフィルムのなかから国士館大学で既に撮影した分を除外する作業を行い、中世文書を中心に約二万コマの焼付を依頼した。長崎図書館のフィルムよりの焼付は、国士館大学のフィルムよりの焼付と合せて所蔵者の地域別に整理し、「対馬古文書」一〇一冊として通し番号を付して入架する予定である。史料所蔵者の目録、収録されている巻数番号、所蔵者五十音索引表は次の通りである。
対馬古文書所藏者目録并対照表

『東京大学史料編纂所報』第10号